戦国巫女風雲記

[霊峰にて](1/32)

――霊峰、富士の麓。

そこに古びて今にも壊れそうな大きな祠がある。

「漸く―…この時が来た。待ち焦がれていたよ…。」

その中に端正な顔立ちの男が女を抱えて入っていく。

「…天照大神の巫女を糧とし…我は完全な復活を果たす。」

「…私の力を…奪うと…?」

「奪うと言うよりは喰らう。…次の満月の晩にな。」

台座に寝かせると顔を近づける。

「方法は聞いているだろう…?少々迷ってしまうな…。」

力を奪う方法。

それは三つある。

身体ごと喰らうか。

魂のみを喰らうか。

身体的に交わるか。

「一応は決めているんだけどね…。」

「……。」

「まぁ…それは楽しみにしておきなよ。」

脚と手を鎖で繋ぐ。

「…大人しくしてな。少し出てくる。」

女が取り残される。

穴の開いた天井から光が入ってくる。

「元親さん…。」

呟く。

「蘭丸さん…。」

微かに聞こえる程度の声。

「小太郎さん…。」

寂しさ、切なさ。

「政宗さん…。」

悔しさ、そして。

「…幸村…さん…。」

愛しさ。

(きっと…もう…会えない…。)

全てが声に詰まっていた。

目を閉じると、胸の上で両手を組む。

「…我が神、天照大神よ…どうか…皆さんを…。」

鎖が揺れ、音を立てた。

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